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今回は21大都市のひとつである浜松市の賃貸住宅市場について確認しましょう。
筆者は21大都市を、大都市型、独立都市型、学園都市型、地方中核都市型、地方都市型の5つに分類していますが、浜松市は21大都市の中で唯一、地方都市型の都市に分類される都市です。
図1に浜松市と全国の年齢別人口比を示します。浜松市は全国に比較して18歳未満の人公比率は高いですが、大学進学と就職による流出で18歳以降の人口が流出していることから、18歳~30歳の年齢別人口比が落ち込んでいます。大都市型の都市へのストロー効果に抗えなくなっているのが地方都市型の都市の特徴です。
浜松市は団塊ジュニア世代以降の人口比率が全国とほぼ同じであり、他の政令指定都市と異なり高齢化の進行が進んでいます。
図1:浜松市と全国の年齢別人口比 総務省「2020年国勢調査」より作成
浜松市の「推計人口表、人口動態(自然動態、社会動態)」から作成した浜松市の各月1日時点の世帯数と人口の推移を図2に示します。
浜松市の人口は微減傾向で推移しています。一方で世帯当たり人数が減少していることから、世帯数は僅かながら増加傾向で推移していますが、これは世帯人数が減少傾向にあることが要因です。
なお、2020年10月に世帯数が大きく減少しているのは、2020年国勢調査の結果を踏まえて修正が行われたことによるものです。
総務省の「2018年住宅・土地統計調査」によると、浜松市は21大都市の中では、持ち家比率は64.8%と新潟市に次いで2番目に高く、借家数は101,400戸と静岡市に次いで2番目に少ない都市です。
国勢調査による調整が行われた以降の、浜松市の世帯数の増加幅は月当たり約280世帯ですので、持家率を考慮すると賃貸住宅居住世帯は月当たり約100世帯が増加していると考えられます。
図2:浜松市の世帯数と人口の推移 浜松市の「推計人口表、人口動態(自然動態、社会動態)」から作成
これに対して、浜松市の貸家着工数(12か月移動平均)(図3)は、2022年8月までは月当たり約110戸と、世帯数の増加幅と均衡していましたが、2022年9月以降は月当たり約130戸と、若干供給過剰気味となっています。
図3:浜松市の貸家着工数(12か月移動平均)国土交通省「建築着工統計調査」より作成
浜松市は、ホンダ、スズキといった自動車産業等の工場が多く存在することから、賃貸住宅市場は製造業の業績に影響を受けている可能性があります。
図4に経済産業省の「鉱工業指数」から作成した製造工業の生産、出荷、在庫、在庫率の推移(2020年基準)を示します。
製造工業の生産と出荷はコロナ禍の影響で大きく落ち込み、在庫率も跳ね上がりましたが2020年5月を底に回復傾向となり、2020年後半以降は生産・出荷ともに概ね100を上回って推移しています。
以上を踏まえてCRIXの指標を確認しましょう。
図4:鉱工業指数 製造工業の指数推移(2020年基準)経済産業省「鉱工業指数(生産・出荷・在庫、生産能力・稼働率)、製造工業生産予測指数」より作成
CRIXから作成した浜松市の面積別空室率推移を図5に、面積別賃料指数(2020年1月=100)の推移を図6に示します。
浜松市の空室率は製造工業の生産、出荷が大きく落ち込んだ2020年5月から3か月~7か月遅延して空室率の悪化が始まっていることがわかります。
これは製造工業の業績が悪化したことから、派遣社員や契約社員の契約更新が行われなかったことが要因と考えられます。20㎡未満の空室率が大きく上昇しているのは、派遣社員や契約社員の社員寮として使用されていた賃貸住宅が解約された可能性が考えられます。
同様の現象は2021年9月の指数悪化後にも発生しています。なお、2023年以降の空室率悪化は、賃貸住宅の供給過剰も要因です。
図5:浜松市の面積別空室率推移 CRIXより作成
一方で、20㎡未満の賃料は、2020年中旬以降に空室率が上昇しているのにもかかわらず上昇しています。これは社員寮として一括借り上げされていた賃料の安い部屋から解約が進んだ可能性を示しています。
50㎡以上の賃料が下がっているのは、製造業の景気悪化で賃料の高い部屋が敬遠されたことが影響していると考えられます。とはいえ、20㎡未満、50㎡以上共に平均賃料の変動幅は1,000円程度にとどまっています。これは、新規供給が少ないことから、平均賃料が大きく変化しないためであると考えられます。
図6:面積別賃料指数(2020年1月=100)の推移 CRIXより作成
自動車業界は急速にカーボンニュートラルにシフトし始めています。
ホンダは2040年に全ての車をEV(電気自動車)とFCV(燃料電池車)とする計画を発表しています。スズキも2030年度までに日本のEV比率を20%、欧州のEV比率を80%にする計画を発表しています。
EVは部品点数が少なくなることから、下請け企業への影響が懸念されています。また直近では中国の景気悪化が製造工業の業績を圧迫しています。
一方で米中対立の悪化、中国のカントリーリスクの悪化から、日本への工場回帰の動きも出てきました。モノづくりの街として発展してきた浜松市の賃貸住宅は、今後もグローバルな変化に翻弄されることになりそうです。
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