全国主要地域賃貸市場動向:CRIX指標を活用した最新のエリア別分析

【CRIX vol.11】2024年12月 全国主要地域のCRIX一覧(空室率と平均支払賃料および前年同月比) 資料ダウンロード

不動産市場アナリスト : 藤井 和之
日本情報クリエイト株式会社 データ戦略室執行役員 : 林 宏

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日本情報クリエイト株式会社(本社:宮崎県都城市、代表取締役社長:辻村 都雄、以下「日本情報クリエイト」証券コード:4054)は、このたび賃貸不動産市場の指標であるCRIX指標を活用した月次レポートを公開したことをお知らせいたします。

本レポートでは、最新データに基づき、全国主要地域の市場動向を詳しく解説します。

 

東京23区:繁忙期を控えた東京23区は空室率が下げ止まり、単身者向けの支払い賃料の上値が重い

繁忙期である1月~3月を控えて、東京23区では、空室率に下げ止まり傾向がみられます。
テナントが支払っている賃料(以下、支払い賃料)の平均値はコロナ前の2018年1月比で、30-50㎡はアパート・マンション共に10%程度高い水準、50㎡-は、アパートが10%超、マンションが30%超高い水準ですが、アパートは2024年6月をピークに下落傾向にあります。
0-20㎡、20-30㎡の物件は供給過剰であることから、支払い賃料の上値が重い展開が継続しています。
立地条件がマンションに劣るアパートの支払い賃料水準にこの傾向が強く見られます。

 

東京都下

東京都下では、2000年以降に多くの大学が多摩地域から都心に移転しています。
0-20㎡、20-30㎡に関しては、アパートとマンションの平均支払い賃料の差が縮まっていることから、マンションを選好する傾向が見えます。特に、アパートの0-20㎡は空室率が12%前後で推移しており、テナント付に苦労していることが伺えます。
30-50㎡、50㎡-のマンションは、支払い賃料の安いアパートや新築・中古マンション、戸建等との競合から支払い賃料の改善が進んでいません。

 

神奈川県・埼玉県

コロナ禍収束とともに都心回帰が強まっていましたが、東京23区の支払い賃料、マンション価格が上昇していることから、カップル及び家族世帯には、賃料や価格の安い東京23区の外側の地域に移動する動きがみられます。
このため、通勤の便の良い川崎市では、マンションの0-20㎡以外の空室率が改善傾向で推移しています。支払い賃料も50㎡-を除いて、コロナ前より5-10%高い水準で推移しています。50㎡-については新築・中古マンション、戸建等との競合があることから支払い賃料が低迷しています。同様の傾向はさいたま市にもみることができます。
一方で、横浜市については30-50㎡、50㎡-の空室率が上昇傾向で推移しています。これは、川崎市やさいたま市よりも、新築・中古マンション、戸建等との競合が激しい可能性を示唆しています。
また、横浜市では京浜東北線沿いに多くの0-20㎡物件が供給されていることから空室率が高い水準で推移しています。

神奈川県
横浜市
川崎市
埼玉県
さいたま市
 

千葉県

千葉県の東京23区よりの地域である千葉県西部(柏市、松戸市、流山市、我孫子市、市川市、浦安市、習志野市、船橋市)では、0-20㎡・50㎡-の空室率は高い水準、20-30㎡・30-50㎡の空室率は低い水準で推移しています。
単身者向けの0-20㎡と20-30㎡の賃料は下落傾向で推移していましたが、マンションの20-30㎡のみ2023年5月を底に上昇傾向に転じています。

 

札幌市

札幌市では、アパート、マンション共に0-20㎡の空室率が急激に悪化しています。
2021年比で支払い賃料が30%弱上昇していることが要因と考えられます。

 

名古屋市

名古屋市では、全体的に空室率が悪化傾向で推移していましたが、2024年5月をピークにして、アパートの0-20㎡、マンションの30-50㎡以外が改善傾向に転じています。新型コロナウイルスが5類に移行したことから、都心回帰が進んでいると考えられます。

 

京都市

学生の街である京都市では、新型コロナウイルスの感染拡大で離れていた学生が戻ってきています。学生が居住する0-20㎡、20-30㎡は、アパートとマンションの平均支払い賃料がほぼ同じとなっていることから、マンションが選好されています。このためマンションの空室率は改善していますが、アパートの空室率は悪化しています。

 

大阪市

大阪市は、訪日外国人の渡航制限が解除されて以降、インバウンドの増加に伴い、マンションの空室率が急激に改善しています。福岡県においてもマンションに同様の動き見られます。大阪市の支払い賃料には、今のところ空室率改善による影響は見られませんが、今後は上昇してくる可能性が高いと思われます。

 

福岡市

福岡市については、空室率改善に伴い、マンションの賃料が上昇に転じています。

 

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