これだけは知っておきたい不動産業の電子契約に関わる4つの法律

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これだけは知っておきたい不動産業の電子契約に関わる4つの法律

2022年5月中旬までに開始されると言われている「賃貸借契約の完全電子化」ですが、当社の不動産コラムでも①電子契約が本格化②電子契約導入で業務改善と過去2回に渡り不動産業の電子契約の動きについて解説してきました。3回目となる本稿では③これだけは知っておきたい不動産業の電子契約に関わる4つの法律と題して、不動産会社様が電子契約を行う(システムを導入する)上で把握しておいていただきたい、基礎的な4つの法律について解説します。
本コラムを安心・安全な業務運営にお役立ていただけましたら幸いです。

目次
  1. そもそも電子契約に法的な効力はあるの?
  2. ∟ ①民法(第522条2項)

  3. いつから賃貸物件の新規契約が電子化できるの?
  4. ∟ ②宅地建物取引業法(35条、37条)

  5. 電子契約システムを導入する際に気を付けることは?
  6. ∟ ③電子署名法(第2条)
    ∟ ④電子帳簿保存法

  7. まとめ

そもそも電子契約に法的な効力はあるの?

① 民法(第522条)

2020年4月に新たに施行された民法第522条に以下の条文が追加されました。
この条文により、契約方式の自由が明文化され、契約を電子的に締結した場合でも、原則として契約は有効に成立することが改めて確認されました。しかし後述のとおり、宅建業では契約成立時の書面発行が義務づけられる場合があり、現時点では、書類の完全な撤廃は行なえません。 

■民法(第522条2項)
契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、
書面の作成その他の方式を具備することを要しない。

いつから賃貸物件の新規契約が電子化できるの?

② 宅地建物取引業法(35条、37条)

宅地や建物は購入金額が高額で、人の暮らしに密接にかかわる重要な契約であるため宅地建物取引業法で“書面”での交付が長らく義務付けられてきました。しかし、2021年5月19日にデジタル改革関連法案が成立したことにより、今後は「押印の廃止・書面の電子化」を実現する制度が施行されます。国土交通省が主体となって実施している社会実験の結果を踏まえ、不動産業においては2022年5月までには宅地建物取引業法(35条重要事項説明書 交付方法、37条契約書面の交付方法)が改正されると見込まれています。 

電子契約システムを導入する際に気を付けることは?

③ 電子署名法(第2条)

電子署名法では“書面契約と同様に署名や押印に相当する電子署名を付与した電子データについて、成立の真正に関する推定力を認めるとされています。これはもし裁判になったときに、そのような電子データがあれば、契約が確かに成立したと簡単に立証できるということです。ただし、電子署名が証明力を持つためには、以下の2つのことが証明できなければならないとされていますので、電子契約を行う場合は本人性と非改ざん性が証明できるシステムの導入が必要となります。 


本人性


非改ざん性

    電子署名法(第2条)

      「署名をした者が書類の作成に関わっていること(本人性)」
      「書類が改ざんされていないこと(非改ざん性)」

④電子帳簿保存法

2022年1月の電子帳簿保存法の改正により、電子契約の電子データの保存が義務づけされています。その際以下の要件を満たしたシステムを導入しないと、義務違反となってしまいますので注意が必要です。

      ①真実性の確保—認定タイムスタンプを付与、改変不可能もしくは改変が記録されるクラウドサービスを利用、または社内規程があること
      ②検索性の確保—主要項目を範囲指定および組み合わせで検索できること
      ③見読性の確保—納税地で画面とプリンターで契約内容が確認できること

まとめ

民法(第522条2項)により契約方式の自由が明文化され、契約を電子的に締結した場合でも、契約は有効に成立することが明らかになりました。ただし、電子データが証明力を持つためには、電子署名法に準拠した “本人が署名したこと”と“内容の改ざんがされていないこと”が証明できる電子署名が付与されなければいけません。 また、締結された電子契約のデータは電子帳簿保存法に準拠した形で保存しなければなりません。
不動産業務を飛躍的に効率化でき導入メリットが多い電子契約ですが、電子契約システムを導入する際は本日紹介した法律等をクリアし、リスクを回避できる安全なシステムの導入をおすすめします。

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