不動産広告料で違法になるのはどのようなとき?把握しておくべきルールを解説

2024.05.17

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不動産広告料で違法になるのはどんなとき?

不動産広告料の請求は違法だと、耳にしたことがある人もいるでしょう。しかし、賃貸物件の入居者募集を不動産仲介業者に依頼すると、広告料の話を切り出されることがあります。仲介業者に依頼する側としては、なぜ違法といわれているのか把握しておくことが不可欠です。本記事では、不動産広告料が違法になるケースとならないケースについて解説します。

 
 

不動産広告料を無条件で請求するのは違法の可能性あり

不動産仲介業者に物件の入居者募集を依頼する際は、仲介手数料を支払うことが一般的です。仲介手数料のなかには、広告にかかる費用も含まれています(依頼を受けた仲介業者は、合意した手数料の中で、広告、人件費その他の費用を捻出します。)。通常の広告活動を行うのみであれば、不動産広告料を別途負担することはありません。通常の広告活動しか行わないにもかかわらず、無条件で不動産広告料を請求しているのであれば、当該仲介業者の行為は違法である可能性があります。

 

仲介業者が不動産広告料を請求しても違法にならないケース

次のような条件をすべて満たすケースであれば、仲介業者が不動産広告料を請求しても違法にはなりません。

 

仲介手数料の範囲内では行えない内容の広告活動の場合

仲介手数料に含まれている広告料は、通常の広告活動でかかる費用です。広告活動に通常よりも費用が多くかかる場合は、依頼主に対して不動産広告料を請求できます。

ただし、すべての顧客に対して一律で広告活動を行っている場合は、費用が多くかかったとしても、広告料は請求できません。仲介手数料の範囲内で一律に行う広告活動と、広告料の請求が必要な広告活動は、明確に分けられていることが必要です。

 

依頼主が特別な依頼をしている場合

通常の広告活動とは別に、特別な広告活動の依頼を受けていれば、不動産広告料を請求できます。特別な依頼であると言えるためには、依頼主から、積極的かつ明確な形で依頼を受けなければなりません。広告活動の具体的な方法も含めて、事前に取り決めをしておく必要があります。ただし、不動産広告は表現上の制限が多いため、必ずしも依頼主の意思が反映されるとは限りません。

 

実費の範囲内での請求の場合

不動産広告料の趣旨は、依頼主が実費を負担して特別な広告活動を行ってもらうことです。そのため、仲介業者が依頼主に請求できるのは、実費の範囲内の金額に限られます。依頼主から特別な依頼を受けて広告活動を行った場合でも、実費を超える金額の請求は違法となります。

 

不動産広告料を請求できる広告活動の例

不動産広告料を請求できる広告活動について、具体例を見ていきましょう。

 

通常より高い費用のかかる媒体への広告出稿

新聞の広告枠へ広告掲載をする際には、通常より高い費用がかかるため、不動産広告料を請求できます。テレビやラジオのCMで物件を宣伝する場合も同様です。ただし、メディアへの広告出稿が全般的に対象になるわけではありません。費用が安く、仲介手数料の範囲内で行える場合や、特にその物件を掲載するわけではなく専ら不動産仲介業者を宣伝する場合は対象外です。

 

不動産広告料はいつ請求されるのか

不動産広告料は、入居者が見つかって賃貸借契約を締結する際に支払うのが一般的です。ただし、不動産仲介業者から不動産広告料のみを請求されるケースは、そう多くありません。通常は賃貸借契約締結時に受け取る契約金から、不動産広告料の分を相殺する形で支払います。

 

不動産広告料なしで可能な広告活動の例

不動産広告料を設定しない場合には、次のような広告活動が行われます。

 

REINS(レインズ)に登録する

REINS(レインズ)とは、不動産仲介業者向けのデータベースです。レインズに登録すると、全国の物件に関する豊富で詳細な情報を閲覧できるようになります。 不動産仲介業者では、自社で依頼を受けた物件の他に、レインズの情報をチェックして紹介することも少なくありません。依頼先の不動産仲介業者以外のところで、物件が紹介されることもあり、成約する可能性も出てくるでしょう。

 

見込み客に紹介する

不動産仲介業者で物件を探す顧客のなかには、条件に合う物件が見つからないという人も多いです。既存の物件のなかに条件に合う物件がなければ、他の不動産仲介業者で探したり、少し待ったりする人は少なくありません。そのタイミングで、入居者の募集が新規で開始され、条件に合う場合には、成約に至る可能性もあるでしょう。

 

店頭で紹介する

不動産仲介業者の店舗に顧客が来店すると、スタッフが条件などを尋ねて、物件をいくつか紹介します。入居者募集を依頼している物件が、顧客の条件に合う場合には、スタッフが該当の物件を紹介し、成約に至ることもあるでしょう。また、店舗内に提示されている入居者募集中の物件情報が、来店した顧客の目に留まり、問い合わせを受けることも考えられます。

 

チラシや広告などで宣伝する

新聞の折り込みチラシの出稿には、それほど高い費用はかかりません。不動産広告料なしでも、折り込みチラシで宣伝してもらえます。ポスティングチラシに関しても同様です。地元の人にアピールできるため、効果的に宣伝できます。また、インターネット広告を出稿することもあります。クリックするだけですぐに詳細を閲覧できるため、訴求効果が高いです。

 

違法な慣習が根付いているのが実情

残念ながら、不動産広告料に関しては、きちんとルールを守っていない仲介業者が多いのが実情です。本来であれば、依頼者が特別な広告活動を依頼しなければ請求できませんが、当然のように請求してくる場合も少なくありません。

背景には、仲介手数料に上限が設けられている一方で、広告料には上限がないという事情があります。不動産仲介業者にとって利益を増やすには、広告料に頼らざるを得ません。その結果、当然のように広告料を請求するという違法な慣習が、根付いてしまっています。

 

広告の表示方法にもルールがある

不動産広告料の請求に関してだけでなく、広告の表示方法に関しても一定のルールが設けられています。

 

使ってはいけない言い回し

不動産広告では、真実味や現実味のない表現を、根拠なく使用することはできません。根拠なく、他の物件よりも優れているものと誤認させるような誇大表現は、使わないように注意しましょう。抽象的な言い回しも、誤認させる可能性が高いため、使用しないのが無難です。 例えば、「日本一」「全国初」「最高の」など、最上級表現も、具体的な根拠なしでは使用できません。格安や厳選などの言い回しも、根拠を提示するのは難しいため、不動産広告での使用は禁止されています。

 

価格表示の方法

不動産広告では、通常価格と特別価格を併記するような二重価格表示は原則として禁止されています。基本的に、記載できる価格は1つまでです。また、賃貸物件の場合、過去の賃料比較などの記載も禁止されています。賃料が変更された場合、変更前の金額は表記せず、変更後の金額のみ表示しましょう。通常の商品やサービスの広告の価格表示とは、異なる点が多いのが特徴です。

 

広さや建築材料に関する表示方法

不動産広告には、「1DK」「2LDK」などと、部屋の数が表記されていることが一般的です。DKやLDKには、最低限の広さの基準が設けられています。DKの場合には居室が1部屋なら4.5畳以上、2部屋以上なら6畳以上の広さが必要です。LDKに関しては、居室が1部屋だと8畳以上、2部屋以上なら10畳以上が基準になっています。

また、建築材料を表記する場合には、具体的な使用箇所も明記しなければなりません。

 

おとり広告は禁止

おとり広告とは、存在しない物件や取引対象にしていない物件、取引する意思がない物件を掲載した広告のことです。おとり広告で顧客を釣って、他の物件に誘導するような手法は禁止されています。

意図的におとり広告で釣ろうとしていなくても、成約後に削除することを忘れてしまった結果、おとり広告だとみなされてしまう可能性もあるため、注意が必要です。違法になってしまうのを防ぐためにも、広告に掲載している物件が成約したら、その物件を削除しておくことを忘れないようにしましょう。

 

まとめ

不動産広告料の請求は当然に請求できるものではなく、あくまで依頼主が特別な広告活動を依頼した場合のみ請求できます。金額も、実費の範囲内に留まるものです。当然のように不動産広告料を請求している場合には違法とみなされます。

しかし、不動産広告料に関するルールは、厳密に守られていないケースが多いのが現状です。「仲介手数料だけで充分な利益を得られない」などの理由から、違法な慣習が根付いています。

また、不動産広告料を設定しても、依然として空室が続いてしまうリスクはあります。賃貸物件の入居者募集をするには、空室対策を実施しなければなりません。日本情報クリエイトでは、空室対策に役立つさまざまなソリューションを用意しています。詳しくは資料をご覧ください。

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