電子契約の運用ポイント・活用事例集フォーム
このコラムでは、電子契約をこれから導入するための賢い対応策を紹介します。
2022年5月に重要事項説明書(35条書面)と不動産売買契約書(37条書面)の電子化が認められて2年が経過しました。不動産電子契約の導入により、契約書をデジタル形式で即座に作成、送信、署名まで可能とし、契約業務全体の時間を大幅に短縮することが実現可能となりました。
一方で、ユーザーの不安・抵抗感から「慣れているから紙の契約書」を使い続け、なかなか電子化が進まないのも現状です。本稿では、不動産電子契約の導入デメリットを整理し、その対応策を紹介します。
不動産取引を電子契約化することは、契約業務全体の時間を大幅に短縮できるメリットがある一方で、解決すべき問題点も存在します。
不動産仲介の場合、電子契約システムを導入することは、単に自社内でのシステムの構築・更新に留まらず、取引関係にある他の事業者にも同等の技術基盤の構築を求めることが必要です。各取引先にPCの操作知識や技術を要し、また、そもそもパソコンがない場合は購入をお願いしなければなりません。
このように異なる技術レベルや経済状況にあるため、一律の要求が現実的でない場合もあり、小規模な企業では、初期投資の負担が大きすぎる可能性があります。
また、電子証明に用いる電子証明書やタイムスタンプには、有効期限が存在するなど専門知識と技術的なサポートやトレーニングの必要性が生じ、これが追加のコストと時間を要することになります。
このような状況下では、電子契約化の本来の目的である契約業務全体の時間削減とは逆行しており、ビジネスの展開速度にも影響を与えかねません。電子契約の導入がもたらす便益は明らかですが、全ての関係者が同じレベルに立つための努力と調整が必要です。また、電子化を進める中でも適切なコミュニケーションとサポートが提供されなければ、取引先との関係が悪化するリスクもあります。
電子契約のセキュリティ対策はユーザーの不安・抵抗感が生じやすい部分です。契約書には取引の詳細、個人情報、機密情報が含まれており、これらのデータがサイバー攻撃によって漏洩した場合、企業の信用失墜につながる大きなリスクとなるため、高度なセキュリティ対策が不可欠です。
電子契約を取り扱うシステムでは、データの暗号化が基本ですが、多層的なセキュリティ対策を施し、データ管理が適切に行われているか定期的な確認も必要となります。
また、従業員に対するセキュリティの教育指導の徹底も避けて通れません。関係者・従業員全員がセキュリティポリシーを理解し、適切に対応することで、内部からの情報漏洩のリスクも抑えることができます。
インターネット上では新たな脅威が発生するたびに、セキュリティ対策も進化し続けなければならず、常に最新のセキュリティ技術に投資し、システムの更新を行う必要があります。この継続的な投資は、特に中小規模の不動産事業にとっては負担となることが少なくありません。
新しいシステムを導入するには「スモールスタート」が大原則です。初期の課題を小規模で把握し、解決策を見つけながら全体のシステムに適用していきましょう。
関係者・従業員の混乱を避けるためにも、次のステップで適切に改善していくことをおすすめします。
①どの書面を電子化するかあらかじめ決める
契約書の電子化を一度に一気に進めてしまうと、関係者・従業員が困惑し、データの管理がうまくいかず、セキュリティ対策の不備にも繋がります。日々の業務で比較的電子化しやすい書類から取り組み、リスクを最小限に抑えつつ、業務の効率化を進めていきましょう。
ポイント:不動産取引から一般的な契約書類までで電子化しやすい書類を決める
②誰が管理するのか決める
管理者の役割は単に電子書類を保管するだけではなく、アクセス権の設定やセキュリティの維持、必要に応じての迅速な書類の提供が求められます。適切な管理者を配置することで、電子書類の取り扱いにおける人的ミスも減少させ、効率的な作業時間を確保することが可能になります。
また、誰が責任を持つのかを事前に決定しておくことで、決済業務の流れが透明化し、契約過程で発生する問題に対して、迅速かつ効果的に対処できるでしょう。
ポイント:不動産事業の経営者として、電子書類の管理者を選定する際には、運用知識・技能だけでなく、信頼性や責任感も重視すべきです。
③どのように保管するのか決める
2022年の電子帳簿保存法の改正にともない、電子データで取り交わした契約書等は電子データのままで保存することが義務化されました。紙に印刷して保管をしても、法的効力は持ちません。
不動産会社様必見!【電子帳簿保存法とは?】2024年からの 改正内容・対象書類を簡単に解説 簡単なイラスト付き! – 不動産コラム (n-create.co.jp)
大量の書類を効率的に管理し、セキュリティ対策を向上する方法として「クラウドサービス」を利用することをおすすめします。
クラウドサービスの特徴は最新のセキュリティ技術を導入しており、常に更新されるため、セキュリティレベルを維持しやすい点や、データのバックアップが行われるため、情報の損失リスクを大幅に減少させることができます。
クラウドサービスを選定する際に、そのセキュリティの強度、利便性、コストのバランスを考慮する必要はありますが、適切なクラウドサービスの選択によって、事業の効率化だけでなく、顧客との信頼関係構築にも寄与します。
ポイント:電子書類をクラウドで保管することで、アクセスの利便性・セキュリティ対策を向上させる。
このコラムでは、不動産電子契約の導入デメリットと賢い対応策を紹介しました。
電子契約システムは、「契約業務の流れを変えることなく電子契約を運用でき」、「契約時に取り交わす様々な書面にも対応」しています。しかしながら、単に自社内でのシステムの構築・更新に留まらず、取引関係にある他の事業者にも同等の技術基盤の構築を求めることが必要です。また、企業の信用失墜につながる大きなリスクを防ぐためにも、高度なセキュリティ対策が不可欠となります。
電子契約システムを導入するには「スモールスタート」で、デメリットを解決しながら、全体のシステムに適用していきましょう。
不動産業専用の電子契約システムを選ぶメリット – 不動産コラム (n-create.co.jp)
【対面で相談可能】日本情報クリエイトに相談できること3つ – 不動産コラム (n-create.co.jp)
カテゴリ
タグ
電子契約の運用ポイント・活用事例集フォーム